そして不動産投資に前向きになれる考え方
来たとしても発注した通りに商品が店に並ぶかはわからない。
こんな状態が数年続いた。
「S」の店舗数は増えていたが、SやIはOFC(オペーレーションーフィールドーカウンセラー、店舗経営指導員)から上がってくる加盟店主の不満を抜本的に解消する手段を模索していた。
その問題を突き詰めていくと、取引先がS専用の在庫管理や配送体制を敷いていないからではないかと考えた。
スーパーが特定の商品を大々的に特売すると、取引先はそのスーパー向けに大量の商品を供給し、その反動でSには商品が回らないということもあった。
そもそも問屋には在庫管理に対する考えがあまりなく、メーカーから届いた商品を小売店に配送する、商品を右から左へ動かすだけの存在に近かった。
そこでIは食品の問屋に出向いて、S専用の倉庫を確保してもらい、在庫管理をしっかりしてもらうことを要請した。
「ヒト、モノ、カネ」のないSは自らが物流センターを設けることはせず、取引先の経営資源を活用することにしたのだ。
当時、アウトソーシング(業務の外部化)などという気の利いた言葉などなかった時代だ。
しかし、生まれて間もないS向けだけに専用倉庫を作ろうという前向きな問屋はなかった。
そもそも問屋は小売店側からいつ取引をやめられるのかわからない不安を持ちながらビジネスをしていた。
ちょうど、スーパーの急成長時代であり、問屋にとってはスーパーにどれだけ納品価格を低く提示できるかが重要だった。
納品価格によっては、取引が切られることが起きていたからだ。
この課題に最初に取り組もうとしたのが、雑貨問屋のA商店(現アオキコーポレーション)だった。
当時、A商店の社員はライトバンに乗って東京、埼玉、神奈川、千葉の「S」の店に行って注文を取り、配達をしていた。
1人のセールスマンが受け持つ店舗は6店で、いくら「S」がドミナント(高密度多店舗)出店をしていても1日に15店回るのがやっとだった。
決して効率的な仕組みを持っている会社とは言えず、注文通りの商品を配達できないこともしばしばあったという。
Sとの取引は採算が合わず、未納や誤納などのミスがあるとS本部からクレームが来た。
劣等生の卸だった。
IはA商店などの取引先に足しげく通い、「従来の仕事のままでは卸の将来はない。
卸も近代化すべきだ」と熱っぽく語り、S専用倉庫の建設を働きかけた。
店舗数の増加に対応するにはA商店のような商売のやり方では通用しない。
従来とは次元の違う仕組みとしてどうしても専用倉庫と新しい受発注業務と配送体制が必要だった。
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